あなたと車とユーズネット

24年前。あのとき君は、かわいかった。
車の中ではユーミンが流れてた。
オレの髪は、もうちょいあった。
  
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会社の若手くんが、すました顔して「モテも車も興味ない」なんて言う。

そんなこと言って、本心では良い車に美人秘書を乗せたいんだろ？
いや、これはオレの夢だけどさ。
  
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こどもに手がかかることもなくなった。
もう一度、一緒に走る喜びを二人で感じよう。

そう言って、妻にスポーツカーのカタログを見せると
「まずは自分の足で走りましょうね。」
と言われ、お腹の肉をつままれた。
ぎゃふん！
  
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会社の若手くんは言う。
「時速300キロ出せる道もないのに、
　300キロ以上出せたって仕方ないですよ。」

そこでオレは、速い車がいかに最強なのかを力説する。
しかし若手くん。iPhone見ながら上司と会話するのは失礼ではないかね？

なんて思いつつも、実はそれでいいのだ。
もう、オレの話を聞いてくれるだけでいい。
  
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娘よ、父さんは悲しい。
彼氏に化粧待ちさせるような子に育てた覚えはありません！

しかし、彼氏の車。なかなか良い趣味をしてるじゃないか。
あんまり化粧が長いと、父さん話しかけに行っちゃうぞ！

  
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かつて、車雑誌を買うと妻のキゲンが悪くなった。
だが、今はもう安心だ。
なにせ、あこがれの車はiPhoneの中にあるのだから。

テレビゲームで車を眺めていた時も
キゲンが悪くなったが、この聖域だけはバレぬはず。


  
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オレは気が利く男なので、妻に花をプレゼントする。

花を渡して
「それで、次に買う車の話なんだけど」
と言った瞬間に「無理」って一刀両断。

ひゅ〜っ。あいかわらずの切れ味だぜ。

  
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夜のドライブは、人生と向き合う時間だ。

どうしたら車を買えるのか。
妻には、新車を中古車と言って買うのはどうか。
今車を買えば娘の結婚式に出席させないわよ、という脅しは本当なのか。


  
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車にぜんぜん興味なかった会社の若手くんが
思いついたように、ポンと車を買った。
しかも外車。新車のSUV。

新車が欲しい想いはオレのが100倍あるのに・・・ッ!!

  
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お父さんが、今ほしいと思ってる車はなんだと思う？
ヒント！　国内メーカーの車です！

娘にそう言うと・・・娘は一言「ベンツ」。
おい〜っ！ スマホより父さんとの会話しよ〜よ〜！

  
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娘が、ついに彼氏を紹介したいなどと言いだしおった。
オレは妻に言う。
「さすがに動揺してる。心中おだやかでいられない。
このままじゃ何するか分からないから新車買っていい？」

こんな時までそれかという目で見られた後、スルーされた。

  
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